【TOEIC800点台から900点を目指す!TOEIC模試トレーニングによる勉強法】 第2回 TOEICリスニング対策
目次
第1回 スコアメイク戦略と模試トレーニングの概要
第2回 TOEICリスニング対策
第3回 TOEICリーディングPART5,PART6対策
第4回 TOEICリーディング PART7対策
第5回 TOEIC単語・語彙の傾向と対策およびまとめ
リスニングの精度を上げる
間違えた問題の解答の理由・根拠となるフレーズ・センテンス、聞き取りにくかった箇所を集中的に確認するのがいいでしょう。
該当箇所を何度か音声を聞いて、英語の音声から意味がすぐに浮かぶようにする練習が効果的です。知らない単語があれば、その場で意味を確認し、フレーズ、センテンス単位で音声が理解できるようにすることに集中しましょう。長いセンテンスは、そのセンテンスを分割したフレーズ単位でOKです。理解できるフレーズが増えてくると、長いセンテンスの英語音声が理解しやすくなります。
この時に完璧に聞き取ることを目指す必要はありません。つまり音声を聞いてaやtheなどの冠詞を含めて正確に書き取りできるレベルまで持っていかなくても結構です。対象となるセンテンス・フレーズを「聞いて意味がすぐに理解できる」レベルまでで充分です。
音読やシャドーイングを普段の英語学習の習慣としている人は、該当箇所をやってみる価値はあります。ただし、TOEICのリスニングの問題に限って言えば、音声を聞いて意味がわかればいいので、音読・シャドーイングの練習の前段階として、音を聞いて意味を一致させることをクリアしてからにすべきです。音声を聞いて何を言っているのか理解できない状態で、音読やシャドーイングで機械的に発声練習してもリスニング力は向上しないと考えるからです。
音読やシャドーイングに慣れていない、得意でない方は、音の確認と意味の理解だけでこの練習はスキップしてもいいでしょう。
私がTOEICのリスニングの勉強をしたとき、リピーティング(センテンスやフレーズを聞き終わって繰り返す方法)をかなり限定したセンテンスやフレーズに絞って練習した程度です。同じものを10回とか20回やることはありませんでした。シャドーイングに至っては、これまでの英語学習でやったことがありません。正確に言えば、過去に試みたが聞こえてくる音が自分の声にかき消されて、うまくいかず断念した経緯があります。
余談ですが、ためしに英語でなくテレビから流れる日本語の音声をシャドーイングしてみました。残念ながら連続した音声をスムーズに再現していくことができません。日本語は当然ながら完全に聞き取れます。しかし、母国語でさえシャドーイングは満足のいくレベルでできません。
時間をかけて練習すればできるようになるかもしれませんが、おそらくシャドーイングは今後もやらないでしょう。音声系のトレーニングについては、必要に応じてリピーティングだけをやるつもりです。※後述する安河内先生の記事を見てヘッドホンをつけてやるのを初めて知りました(・・;)
少しばかり話がそれましたが、このようにTOEICのリスニング対策で音読、シャドーイングはやりませんでした。リピーティングを少しだけ取り入れたのみです。それでも模試トレーニングの過程で理解できなかった音声の部分を注意深く聞き取る練習をしたことによってリスニング力は上がったと実感しています。音読やシャドーイングは人それぞれ合う、合わないがあると思われるのでご自身の判断で取り入れるかどうか決めればいいでしょう。
※上の文を書いた後に、音読に関する情報を探していたところ次の記事を見つけました。音読、シャドーイングなどについて東進ビジネススクールの安河内哲也先生の「必ず英語力が付く、正しい音読10の方法 棒読みデタラメ音読に陥るな!」にある「正しい音読10の方法」がとても詳しく書かれていて参考になると思います。以下に引用させていただきます。
記事全体も、興味深い指摘がありますので興味のある方はご一読を。
http://toyokeizai.net/articles/-/27928
〜 棒読みデタラメ音読を廃し、必ず英語力が身に付く10の方法 〜
1.構造の理解と単語・フレーズの暗記を先行
当たり前のことだが、構造も単語やフレーズの意味もわかっていない文をむやみに棒暗記しても意味はない。まずは文構造と単語やフレーズの暗記を先行すること。しかし、これを繰り返すだけでは、言語を使いこなす能力は身に付かない。また、古典の名文などを意味も構造もわからず吟じても効果は薄い。2.リピーティング
音読の最初の段階で、正しい発音を学ぶことが重要。そのためにネイティブスピーカーの音声モデルを、センスグループやセンテンスの単位でリピートし、正しい発音を覚えることが重要。個々の単語の発音など、記号を使って確認するなどしながら発音を矯正する。また、リエゾンなどの音声現象も理解するだけでなく、自分の口で発話しながら摸写し、修得する。デタラメな発音で発話することをこの段階で阻止すること。3.サイト・トランスレーション
センスグループ単位で英語を読み、それを瞬時に翻訳する、学習者用にアレンジしたサイト・トランスレーション。日本語の順番は左から右のままでかまわない。音読の最終目的は、日本語を介在させずに意味を理解することだが、この初期トレーニングではあえて母語の日本語を使う。この方法で、意味を考えずにデタラメに読むことを阻止する。直読直解に至る前の補助輪。和訳しながら読むという大きなデメリットもあるので、ほかの方法とうまく組み合わせ、ここをゴールとしないように気をつける必要がある(この方法に関しては、当初私はたいへん懐疑的であった。しかしながら、日本語を介在させずに概念理解をするということ自体が何なのか、訳すことと解すことの区別が理解できていない初学者は、英語だけの音読だと棒読みになってしまうようだ。そこであえて慣れ親しんだ母語を、第一段階として意味理解の便法として利用した。初学者の棒読みを阻止する効果は絶大だった)。4.Read & Look up
センスグループやセンテンスごとに一度音読したものを暗唱して発話する。当然1度目に集中して読まないと2度目の発話ができないので、棒読みはできない。文構造を意識して正しい英語をアウトプットする訓練にもなる。また、意味を考えないと記憶を保持できないので、英語から直接意味を理解する練習にもなる。これは、アウトプットにも大変効果がある学習法だが、発音模範をネイティブ素材なり教師なりが示さないと、デタラメな発音が定着する危険性もある。5.音読筆写
Read & Look up を、手を使ってやる方法。センスグループごとに音読しながら暗唱して書き写す。4に加えてスペリングにも注意が必要。英作文対策に最適(私は大学時代に、「只管朗読」を提唱された音読学習の始祖でもある國弘正雄氏よりこの方法を学び、トレーニングをすることによって、英語を書く力を伸ばすことができた)。6.加速トレーニング
とにかく速く読む訓練をする。言語を習得するためには、スピードを上げることが不可欠。これは反射神経を養成するための加速訓練。たとえば、同じセンテンスを10回繰り返して速く読む。しかしこの方法には、意味理解がおろそかになるという大きなデメリットがあるので、ほかの方法とうまく組み合わせることが大切。スピードを上げるためと割り切ってやるとよい。また、速く読む際にはリエゾンなどの発音現象や、強形と弱形の読み分けなどに留意しなければならない。7.オーバーラッピング
テキストを見ながら、音声と一緒に読む音読。目と耳と口を同時に使うことで反射神経を高める。棒読みにならないように、意味を考えながら読むことが重要。この点では、歌をおぼえることと言語を学ぶことはよく似ている。ただし、歌と多少違う点は、文章の意味に最大の注意を払う必要があるということだ。8.シャドーイング
高いレベルのリスニング力を身に付け、発音とイントネーションを矯正するためのたいへん優れた方法。もともとは、同時通訳の訓練だが、その効果に注目が集まり、一時ブームにもなった。しかし、初学者はリスニングと発話に集中するあまり、意味理解がおろそかになってしまうというデメリットがある。また、初学者には敷居が高すぎるかもしれない。リスニング力・発音力の改善のために、上級者はトレーニングに組み入れるとよい。短文の音声やスローな音声で挑戦してみるとよい。ヘッドホンを使ってやること。そうでないと、自分の声が干渉して英語が聞き取りにくくなる。9.短文ショートプレゼンテーション【すべての短文学習のゴール】
短文を学習するゴールはすべてここに置く。問題が解けることをゴールにするのは絶対にダメ。「問題が解けること」と「英語ができること」は別次元。問題が解けても英語はできるようにならないが、英語ができるようになれば問題など簡単に解ける。そのために、短文はすべて暗唱して自分の言葉として唱えることができるようにする。ここまでもっていけば、発話にすぐに結び付けることができるし、これができるようになるためには、発音・構造・意味などすべてのハードルをクリアしなければならないので、学習の成果を確認するには最適。10.長文リスニング理解【すべての長文学習のゴール】
長文を学習するゴールはすべてここに置く。目で見てわかったり、問題が解けること、和訳ができることをゴールにするのは絶対にダメ。ネイティブが読み上げる音声を聞いて100%わかるようにすることがゴール。この方法によって、左から右に日本語を介在させずに一定の速度で理解できるようになっていることを確認することができる。また、自分で速度をコントロールすることも止まって構造を確認することもできない。ここをゴールとすることによって、誤った音読に陥ることを阻止することができる。※(注)当方で文字強調。
「1.構造の理解と単語・フレーズの暗記を先行」にもありますように最初に意味を理解することの重要性を説かれています。音読をやってもTOEICのリスニングスコアが上がらないという人は、この最初の部分が十分でない可能性があります。音読で発声練習を行う前に、文構造と文の意味を理解した後でないと音読練習の効果がでないということです。
TOEICのリスニングの勉強法で、「音読でリスニング力がつきました。音読は効果的です。音読しましょう。」とよく言われています。しかし、その正しいやり方を理解しないと効果が期待できないということです。
8のシャドーイングの項目にもありますように、「高いレベルのリスニング力を身に付け、発音とイントネーションを矯正するため」の方法で、「初学者はリスニングと発話に集中するあまり、意味理解がおろそかになってしまうというデメリットがある」、「リスニング力・発音力の改善のために、上級者はトレーニングに組み入れるとよい」とあるように、レベルの高いトレーニング方法です。
7までのステップの後であることを考慮すると、やったことがない方、慣れない方がTOEICリスニングのトレーニングで手を出すべきか考えなければなりません。
800点台から900点を目指すTOEICのリスニング対策として、最も重要なのは、問題文中で聞き取りにくい、理解できないセンテンス・フレーズの「1.構造の理解と単語・フレーズの暗記を先行」と「2.リピーティング」だと考えます。この2つが、私がTOEICリスニング対策で実践したものに近い内容です。
経験上、1,2を確実に行えば、スコアアップは可能だと思います。ここまでなら、それほど時間はかかりません。3以降を問題文全体で行うには、時間をかけないと実践できませんので、各学習者の判断で取り入れるかどうか決めるのでいいでしょう。
TOEICのスコアアップを最優先しない英語力獲得を目指す場合は、3以降について、「各自アレンジしながら英語のトレーニングに組み込むことは価値がある」と最後に付け加えさせていただきます。
英語特有の音声のリズム・リエゾン・リンキングに注意して聞く
音声を聞く際の注意点があります。英語では、リエゾンとかリンキングと言って前後の単語がくっついて発音されます。in itであれば「イン イット」ではなく「イニット」といった具合に2つの単語をあたかもひとつの単語のように発音されることがよくあります。
日本語では、子音と母音のペアで通常発音されます。英語の場合は、子音の後に必ずしも母音がきません。他には、センテンスの中で強く発音される単語と弱く発音される単語があること、強弱のリズムがあることなど違いがあります。一般的にaやtheなどの冠詞は強く発音されないのはその一例です。こうした英語特有の強弱・リズムなどについて意識的に聞くとよいです。
PART1の抜けている単語を覚える、受動態の進行形に慣れる
PART1で自信がない問題や不正解が2問以上ある場合は、模試のPART1で知らなかった単語を覚えて、穴を減らすのがよいでしょう。PART1は、わずか10問の写真描写問題で一見簡単そうにみえますが、解答のカギとなる単語を知らないと解けない問題が難しい回で2問ほど出題されます。
もうひとつPART1では、あまりなじみのない受動態の進行形が出ることがあります。「being +過去分詞」の形です。進行している状態を表し、すでに完了した受動態の「have/has been + 過去分詞」と紛らわしいので注意が必要です。
PART1はできれば全問正解、最大1問ミスで切り抜けたいところです。模試に出てくる未知の単語で解答に関連したものを重点的に抜き出して覚えること、そして受動態の進行形表現に慣れることが必要になります。
PART2の間接的な応答パターンに慣れる
1回きり音声が流れて瞬時に解答を選ばなければならないため、もっとも集中力を要するパートだと思います。PART2は難しくなる傾向にあり、とくに間接的な応答のパターン(Whereなどで会議をする場所を聞いて、直接的な場所に関する応答でなく、「場所はまだ決まっていない」「中止になった」など間接的な応答が正解である問題に慣れていないと即座に反応できません。
ここでも模試トレーニングは効果があります。問題演習をこなすことでさまざまな応答パターンを知ることができます。事前に想定しにくい間接的な応答パターンを多くこなしておけば、難度の高い問題に対処できる可能性が高くなります。そのためには、答え合わせをして確認するときに、状況がつかめなかった問題を集中的に見直すことが大切です。
個人的にPART2はもっとも苦手で、模試以外にもPART2(PART1も同時に入っているが)に特化した問題集を購入してやりました。模試トレーニングをある程度終えた段階で不得意なパートに気づいた場合、パート別対策書・問題集を追加でやることを検討してみてもいいでしょう。
PART3、PART4の会話文・説明文のトピックを蓄積する
TOEIC関連の模試や問題集を解いたり、TOEICの受験回数が増えたりしてくると、PART3、PART4で同じような話の展開や話題がよく出ていることに気がつくでしょう。
よくあるPART3のトピックは「クリニックに電話する場面」、「空港や駅で、悪天候や故障で飛行機・電車が遅れる場面」、「お店で探していたものが見つからないケース」、「仕事が終わった後や週末などに映画や食事、スポーツ観戦のスケジュールを調整する場面」、「求職志願者の選考場面」、「コピー機、プリンターが壊れる、用紙がなくなるシーン」などがあります。
PART4では「ニュースで天気の話題、工事があるので迂回してくれといったアナウンス」、「ニュースで歌手や芸術家、小説家などの紹介」、「会社の営業時間外の留守電でサービスごとの案内」、「ある会社が別の会社と合併するニュース」、「不動産会社の物件の案内」、「会議や研修会でのスケジュール・会場の変更の案内」、「工場見学の説明」「店・図書館の閉店・閉館の案内」「特別セールの内容のアナウンス」といったものがあります。
PART3、PART4ともに込み入った話や複雑な人間関係の話は出てきません。日常的な生活シーン、ビジネス現場のごく簡単なトピックを題材にしていて、専門知識を必要としません。一般的な常識さえあれば容易に理解できる内容です。
TOEICリスニングで出題されやすい話題のトピック・パターンに慣れると話の展開が理解しやすくなります。途中で聞き取れない・聞き逃す部分があっても多少の想像力を働かせれば全体の話の流れをつかむことができます。全くなじみのない会話・説明文より、リラックスして聞くことができ、集中のメリハリをつけて対応することができます。その結果、先読みも効率的に行うことができるようになります。
全体の流れが理解できると選択肢を絞り込めることが多くなります。迷った問題であっても正解をより高い確率で選べるようになります。慣れてくると先読みをした段階で、設問と話の内容から話題を推測して待ち構えることも可能です。
数多くの問題にあたることで、TOEICのリスニング特有の話題に関する背景知識は自然と身についていきます。同じリスニング力があったと仮定した場合、TOEICリスニングに関する背景知識を持っていた方が、正解率が上がることは確かです。この点でTOEIC模試を使った勉強法・トレーニング方法は大きな効果が期待できます。
※TOEICの話題に関する背景知識を増やすと効果があるというのは、他の専門分野でも当てはまると思います。経済、財務・ファイナンス、会計、IT、通信、製造、医療など特定分野を専門とした場合、それぞれに関連する語彙や表現、背景知識を増やせば聞き取り精度は上がります。専門分野において単純にリスニング力を上げただけでは、理解度は上がらないでしょう。ネイティブの子供は英語を話せますが、知識をつけない限り専門的な話題を理解することは不可能です。
※仕事で英語をコミュニケーションの手段として使うのであれば、ネイティブ並みのリスニング力を目指さなくても、業務で要求されるレベルのリスニング力があれば十分事足ります。できるに越したことはありませんが、リスニングを含め英語の学習に多くの時間を割り当てるかどうかは、他のやるべきこととのバランスを考えたほうがいいでしょう。仕事に関して言えば、業務が遂行できるリスニング力に加えて専門的知識・スキル、業界知識がより重要だと考えます。そのほうがビジネスでの活躍の場が広がるのではないかと個人的に思います。
【TOEIC800点台から900点を目指す!TOEIC模試トレーニングによる勉強法】
第1回 スコアメイク戦略と模試トレーニングの概要
第2回 TOEICリスニング対策
第3回 TOEICリーディングPART5,PART6対策
第4回 TOEICリーディング PART7対策
第5回 TOEIC単語・語彙の傾向と対策およびまとめ