TOEIC300点レベルから600点を目指す方に!英検3級・準2級を活用した勉強法
TOEIC300点レベルの方が、500点、600点など上のスコアを目指すにはどのような勉強法がいいのでしょうか。TOEIC公式問題集や対策本はレベル的に難しく感じ、とりあえず手を出してみたが、スコアが伸び悩んでいる場合、どのようにしたらいいでしょうか。
今回はこうした学習者に向けて、英検3級、英検準2級のテキストを活用して英語の基礎固めをし、その後、本格的にTOEIC対策に移行する学習法をご紹介したいと思います。
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TOEIC300点は全体でどれくらいの位置か?
TOEICの運営母体であるIIBCの「公開テスト 平均スコア・スコア分布 一覧」で2022年6月26日までに実施された公開試験26回分の平均点は610.5点です。
TOEIC300点はここ最近の公開試験の平均点から約300点低いスコアであることがわかります。
990点満点中、平均点の約600点レベルの受験者と比べて、約300点低いということは実力的にかなり開きがあるということを意味します。また、300点前後の受験者にとって実感として問題のレベルが高すぎると感じても不思議ではありません。
公開試験の問題の傾向・レベルに準じたTOEIC対策本は300点レベルの学習者には使いこなすのが困難だと思われます。
TOEIC公開テスト実施日 | 平均スコア |
第297回(2022年6月26日 午後) | 595.5 |
第296回(2022年6月26日 午前) | 601.9 |
第295回(2022年5月29日 午後) | 602.4 |
第294回(2022年5月29日 午前) | 615.7 |
第293回(2022年4月24日 午後) | 614.2 |
第292回(2022年4月24日 午前) | 614.7 |
第291回(2022年3月20日 午後) | 603.4 |
第290回(2022年3月20日 午前) | 609.8 |
第289回(2022年2月27日 午後) | 605.2 |
第288回(2022年2月27日 午前) | 617.3 |
第287回(2022年1月30日 午後) | 600.4 |
第286回(2022年1月30日 午前) | 616.2 |
第285回(2021年12月19日 午後) | 607.7 |
第284回(2021年12月19日 午前) | 613.5 |
第283回(2021年11月28日 午後) | 595.8 |
第282回(2021年11月28日 午前) | 605.2 |
第281回(2021年10月24日 午後) | 612.3 |
第280回(2021年10月24日 午前) | 625.0 |
第279回(2021年10月3日 午後) | 618.8 |
第278回(2021年10月3日 午前) | 619.1 |
第277回(2021年9月12日 午後) | 608.3 |
第276回(2021年9月12日 午前) | 616.2 |
第275回(2021年8月22日 午後) | 614.5 |
第274回(2021年8月22日 午前) | 618.6 |
第273回(2021年7月11日 午後) | 606.9 |
第272回(2021年7月11日 午前) | 613.2 |
全体平均 | 610.5 |
TOEIC300点レベルの学習者の課題
TOEIC300点レベルの学習者には以下のような課題がある傾向があります。すべての学習者に共通するものではありませんが、きっといくつか該当するものがあるでしょう。
リーディングの課題
- 品詞の働きが理解できていないなど文法知識に穴がある。
- 文の構造がとらえられないことがある。
- 長めの文章を読んで理解することが困難である。
- 返り読みして和訳しながら読む傾向がある。
- 読むスピードが遅い。
リスニングの課題
- ほとんどリスニングの練習をしたことがない、または不十分である。
- リスニングの音声スピードについていけない。特にPart3、4の長い会話・説明問題の音声についていけない。
- Part2などの短い質問文でも一部の単語の聞き取りしかできない。
- わからない単語が出てつまずくと、その後が全く頭に残らない。
- 知っている単語でも、リスニング音声の中だと理解しにくい。
共通課題
- 中学・高校初級レベルの語彙力が不足している。
こうした課題を効率的にクリアするのに、TOEIC公式問題集や初級者向けのTOEIC対策本が適切でしょうか。
例えば、TOEIC対策で定番のTOEIC公式問題集で考えてみましょう。公式問題集を使う主な目的は、「TOEICの問題形式を知ること」、「公開試験と同じ傾向の問題を解く練習をすること」によって本番の試験に備えることだと考えます。
TOEIC公式問題集は語彙力、文法力、読解力、リスニング力を基礎から体系的に向上させるようなテキストではありません。英語全般の基礎力が不足していると使いこなすことは容易ではありません。
一方、TOEIC初級者向けの対策本がありますが、多くは一定レベル以上の英語力を持った学習者を前提としています。またTOEIC形式の例題とその解説で構成されているため、基礎力が不足していると勉強の効率が悪く、時間をかけても効果が出にくいため挫折することがよくあります。
そこで一見遠回りと思われますが、最初に英語の基礎固めのために、TOEIC系の対策本を使わずに中学レベルの英語を総復習して、高校の初・中級レベルまで上げることをお勧めいたします。
その学習方法のひとつが英検3級、準2級向けのテキストを使って英語学習に取り組むことです。
TOEIC300点と英検3級、準2級のレベル比較
英語等の外国語の習熟度や運用能力を同一の基準で評価するCEFR(セファール)という国際標準があります。CEFRの等級はA1、A2、B1、B2、C1、C2の6段階に分かれており、A1が最も基礎レベルで、C2が最も高いレベルです。この国際基準を使ってTOEIC300点と英検3級、準2級を比較してみましょう。
文部科学省作成の「大学入試英語成績提供システム参加予定の資格。検定試験とCEFRとの対照表」によると英検3級がA1レベル、英検準2級がA1からA2レベルとなっています。
TOEIC L&RのA2レベルが225点から540点です。英検3級、準2級のようにスピーキング、ライティングがないですが、大まかな目安としてTOEIC300点はレベル的に英検準2級のレンジに入ると考えられます。
TOEIC対策の準備段階で英検を活用するメリット
TOEIC300点レベルの英語学習者が英検テキストを活用して勉強するさまざまなメリットがあります。
- 英検3級は中学卒業レベルなので中学英語の総復習ができる。英検3級が難しいと感じる場合は、英検4級、5級のテキストからでも可。
- 英検3級、準2級のリスニングスピードは120〜135wpm(wpmは1分間に読まれる単語の数)で、TOEICの160〜180wpmより遅いので、リスニング初級者にとって取り組みやすい。※株式会社SRJ社のWEBサイトより
- 英検の問題と選択肢は原則英語で日本語を使用しないので、TOEICの問題形式に近い。和訳問題や日本語説明問題が入っている中学生・高校生向けのテキストより効率よくTOEIC対策の準備ができる。(※文法書に関しては、中学、高校用のテキストが使いやすい場合は、それを使用してもいいでしょう。)
- 英検3級、準2級の参考書・テキストはイラストを使って詳しく解説されているものがあり、独学で進めやすい。
- 過去3回分の過去問が英検の公式サイトからダウンロードできるので実力診断と演習に使える。
- TOEIC L&R試験の準備として取り組む場合、英検のライティング、スピーキングパートはスキップしてもよい。
英検3級、準2級対策用テキスト
ご参考までに英検関連テキスト・過去問題集・単語集をいくつかご紹介いたします。イラストなどを使って詳しく説明されているものがあります。書店等で中身を確認して選んでもいいでしょう。
英検3級用
英検準2級用
英検テキストを活用した勉強の進め方
英検の過去問を実際に解いてみる
英検公式サイトに過去3回分の過去問(PDFと音声)があります。英検3級と英検準2級の1回分をどの程度解けるか確認してみましょう。
英検用の単語集で語彙力を確認する
英検3級、準2級対策テキストでご紹介した英検対策用の単語集の「英検3級 でる順パス単」と「英検準2級 でる順パス単」ですが、個人の学習者などが作成したフラッシュカードのリストがQuizletというオンライン学習ツールサイトで見ることができます。こちらのサイトで知っている単語・熟語がどれくらいあるかチェックすることができます。
Quizletのサイトで「パス単 英検3級」、「パス単 英検準2級」で検索するとQuizletのユーザーが作成したフラッシュカードが出てきます。最新の5訂版より古いフラッシュカードが含まれますが、語彙力チェックのためには古いものでもOKです。
英検を使った学習計画の事例
次のようなテキストの組み合わせで学習(メインテキストを2周)を進めるとしましょう。
英検3級用テキスト
- DAILY2週間 英検3級集中ゼミ 新試験対応版(メインテキスト)
- 英検3級 でる順パス単(5訂版、または旧版)
英検準2級用テキスト
- DAILY20日間 英検準2級集中ゼミ 新試験対応版(メインテキスト)
- 英検準2級 でる順パス単(5訂版、または旧版)
「DAILY2週間 英検3級集中ゼミ 新試験対応版」は1日30分で2週間(14日間)なので、2周した場合、28日間。「DAILY20日間 英検準2級集中ゼミ 新試験対応版」は1日30分で20日なので、2周した場合、40日間。合計68日間なので2か月から3か月で2周を終えることができます。
英検3級が簡単すぎる場合、英検準2級用のテキストだけをやれば、2周で40日間で完了します。
「英検3級 でる順パス単」の5訂版であれば、「でる度A 常にでる基本単語 300」、「でる度B よくでる重要単語 300」、「でる度A よくでる重要熟語 200」の計800単語・熟語は可能な限りマスターしたいところです。
「英検準2級 でる順パス単」の5訂版であれば、「でる度A 常にでる基本単語 400」、「でる度B よくでる重要単語 400」、「でる度A よくでる重要熟語 200」の計1000単語・熟語は可能な限りマスターしたいところです。
単語・熟語はメインテキストをやる期間中に空き時間を含め適宜時間を作って覚えるといいでしょう。この学習計画の場合、2から3か月集中して実行するような内容になっています。
まとめ
今回ご紹介した英検3級、準2級向けのテキストを使ってTOEIC対策の準備をする方法は、ある社会人1年生に対して実施した内容をもとにしています。
その方は入社した会社からTOEIC600点を取るように求められていました。音楽大学を卒業しましたが、大学受験に英語がなかったため高校では英語の勉強はあまりしませんでした。
また中学レベルの英語についても相当忘れていて、最初にTOEIC公式問題集の問題をいくつかやってもらいましたが、全く歯が立たないような状況でした。TOEICの受験経験はありませんでしたが、おそらく300点行くか行かないかぐらいの実力だったと思います。
そこで学習計画について話し合った結果、中学レベルの英語の復習から始めることになり、英検3級を含めた中学レベルのテキストを検討しました。英語の設問と選択肢で構成され、マーク形式の問題であること、リスニングの問題があるという理由で英検対策にテキストをベースにして基礎固めをすることになりました。
約3か月を英検対策のテキストを使って学習しました。それから本格的にTOEIC対策に着手し、その後約3か月、TOEIC初受験で550点まで到達しました。600点には及びませんでしたが300点レベルから半年ほどで550点まできたのは大きな成果だったと思います。
もしTOEIC300点レベルでTOEIC対策本に取り組んでいてスコアが伸び悩んでいる場合、英検3級・準2級対策のテキストで基礎固めして、本格的にTOEIC対策に移行することをご検討ください。