【TOEIC800点台から900点を目指す!TOEIC模試トレーニングによる勉強法】 第3回 TOEICリーディングPART5、PART6対策

learn-english

目次

第1回 スコアメイク戦略と模試トレーニングの概要
第2回 TOEICリスニング対策
第3回 TOEICリーディングPART5,PART6対策
第4回 TOEICリーディング PART7対策
第5回 TOEIC単語・語彙の傾向と対策およびまとめ

PART5、PART6で想定される主な課題

最初にPART5、PART6で想定される主な課題を列挙します。

  1. 文法知識はある程度持っているが、TOEICで必要とされる基礎文法知識が不足していたり、あいまいな箇所があったりする。
  2. 苦手な文法項目がある(時制、能動態・受動態、分詞構文など)
  3. 単語力・語彙力が不足している。
  4. 問題を解く手順として、すべての問題文を頭から読んで、意味を理解しながら解こうとする。

※現在9割に満たない方は、当面、全問正解を目指さず、難しい問題は捨てても大丈夫です。

文法問題について

PART5、PART6の問題を解くとき、文法知識が不足している、あいまいであるために答えの理由・根拠が明確に理解できないことが多いとしたら、模試トレーニングでPART5、PART6の問題に数多くあたるのはあまり効果的ではないと考えます。

800点台のスコアで、リーディング400点の壁が超えられない方、文法知識に自信がないと感じている方は、PART5、PART6の模試トレーニングをする前に、1冊のTOEIC文法専門の参考書または解説が詳しい問題集をしっかりやりこんでからのほうがいいでしょう。(※こちらは模試と違って同じものを2~3回繰り返しやってみる。特定の文法項目が苦手ならその部分だけでもいいです。)

たまに大学受験用の文法書をやるべきだという人がいますが、TOEIC対策に限れば時間の無駄です。TOEICで試される文法知識は、中学レベルの英文法にプラスして高校で習う一部分でほとんどがカバーされます。

高校の教科書に出てくる仮定法をひとつとっても、TOEICではごく初歩的なものしか出題されません。一見TOEICの英文が難しく感じるのは、構文が文法的に複雑であるというよりもむしろ見慣れない、知らない単語が多いからだと思います。難関大学の受験問題に出題されるような、修飾関係を注意深く解析しないと理解できないような複雑な構文はありません。これに対してTOEICでは、単語・語彙知識が増えれば、文法的に難しいものはないと感じるはずです。

TOEIC文法参考書の中でお勧めするのが、「TOEICテスト650点突破!文法講義の実況中継 TOEICテスト650点突破!文法講義の実況中継」です。以前参考書・問題集レビューでも書きましたが、TOEICで必要とされる文法のポイントがズバリ説明されています。タイトルが「650点突破」となっていますが、決して初歩的なレベルではなく、ハイスコアホルダーでも学べる部分があると思います。ちなみに過去と現在完了の時制の本質的な違いをこの本で初めて知りました。

TOEICで頻出の品詞、さらに数量詞、時制、能動態・受動態、接続関連など重要項目が講義形式でわかりやすく書かれています。例文・問題で使われている語彙はTOEICを強く意識したものです。著者の長本さんの語り口が合わない人がいるかもしれませんが、この本は傑出しています。機会があれば本屋で立ち読んでみてください。

※自習でTOEICの文法を克服するのが難しいと感じている方、あるいは早めに文法をマスターして目標スコア達成までの時間を短縮したい方にスカイプでTOEICレッスンを提供しています。興味のある方はこちらをご覧ください。

語彙問題について

PART5、PART6の語彙問題に関して、問題を多く解く中で徐々に語彙知識を増やしていけば改善されます。後述の「第5回 TOEIC単語・語彙の傾向と対策およびまとめ」でも説明しますが、TOEICで求められる語彙数はそれほど多くありません。

すでに800点以上レベルの方が単語集を使って3000語とかそれ以上を覚える必要はありません。TOEICの頻出単語はすでに知っているものが多いはずです。数多くの模試を解いて抜けている単語・語彙を覚えながら弱点を強化していけば十分でしょう。

TOEICの語彙問題で重要なのがコロケーション(collocation)です。コロケーションとは、「単語同士のよく使われる組み合わせ、自然な組み合わせ・つながり」を意味するものです。複数の単語が自然な形で一緒に使われるといってもいいでしょう。日本語で共起表現、連語などとも呼ばれます。

例えば、place an order。「注文する」はorder単体でもいいですが、動詞と名詞の組み合わせではplace an orderでよく使われます。placeは名詞で「場所」、動詞で「置く」が基本の意味なので、日本語的な発想からは、なぜorder(注文)と一緒に使われるかは理解しがたいですが、このペアが英語の自然な組み合わせです。

TOEICでは、難解な単語力・語彙力を試すというよりも、コロケーション的な語彙知識、基本的な単語の自然な並び方・使い方の知識が必要とされます。コロケーションを意識してTOEIC模試を数多く解けば、問題を解くための語彙力はアップします。

語彙問題は、問題文の頭から読みなさいというアドバイスがありますが、必ずしも正しくありません。むしろコロケーション的な視点から空所前後を見て正解を選べる問題が多くあります。

(1)単語・語彙問題も空所前後をまず見る、(2)それで判断できなければ見る範囲を広げる、(3)それでも選択肢を選べない場合に文頭から意味を考えていく手順が理想です。時間に余裕がないリーディングでは、時間短縮できる問題はこのように処理していくことがスコアを積み上げる秘訣です。

模試トレーニングのときに忘れてはならないこと

PART5、PART6攻略のコツ

最初にPART5で出題される文法問題の中で頻出の品詞に関する問題を取り上げます。品詞に関する問題とは、同じようなスペルの単語が選択肢に並んでいて、その中から選ぶ問題です。

例えば、選択肢が名詞(addition)、形容詞(additional)、副詞(additionally)、動詞(add)で、空所の前後が、 an ——– to となっていたら、自動的に名詞が入ることがわかります【冠詞の後は名詞(句〔カタマリ〕)がくる、前置詞の前で一旦区切るというルール】。このように空所前後だけ見て単純に正解を選べる問題が含まれます。

品詞に関する問題を解く上で最低限必要な文法知識は、次のようになります。

・名詞、形容詞、副詞、動詞などの品詞の役割を知っていること。【例:形容詞は名詞を修飾する・補語になる、副詞は動詞や形容詞などを修飾するなど】
・それぞれの品詞に特有の語尾のパターンを知っていること。【例: -tionの語尾は名詞、-ableの語尾は形容詞、-lyで終われば副詞など】

こうした知識があいまいで、文の意味を考えながら、勘とか雰囲気で選択肢を選んでいるとスコアが伸び悩みます。文法というと膨大な知識を必要とすると思っているかもしれませんが、TOEICに関して言えば、基本的なところを押さえるだけで多くの問題が解けます。

もうひとつの例として、選択肢に接続詞がひとつ(although)、前置詞がひとつ(despite)、副詞が2つ(evenとrather)の問題があって、空所の後が主語+動詞のS+Vの形になっていれば、接続詞を機械的に選べば短時間で問題を処理していくことができます。

接続詞と前置詞の働きに関する知識があいまいだと、日本語に訳して同じような意味のalthough(~だけれども)とdespite(~にもかかわらず)で迷い、時間を浪費して結果的に間違った選択肢を選ぶ可能性もあります。

文法知識として、「althoughは接続詞で後ろにS+V(主語+動詞)がくる」、「despiteは前置詞で後ろに名詞句(カタマリ)がくる」を知っていれば、たやすく正解が選べます。

なぜその答えになるかを考える

PART5、PART6の問題を解く上で、なぜその答えになるか理由・根拠が理解できない限り、正解数を安定して増やすことはできません。TOEIC模試、問題集や参考書で問題を解いて、答え合わせをするだけでは同じようなタイプの問題が出てきたとき間違いを繰り返す可能性があります。

答え合わせのときにやるべきことは、その問題で問われていることを理解することです。模試トレーニングでは、理由・根拠を簡単に要約して言えるようにするのが効果的です。解説から要点・ポイントを見つけ出して、「なぜその答えを選んだか」を簡潔かつ明確にすることで正解を見つけ出す知識が蓄積されていきます。

解答を選ぶ理由・根拠について具体例を示しましょう。自分が理解できる1~2行程度の説明で十分です。初級者や中級者向けに詳しく説明してやるというより、自分より高いレベルの人に説明して、「あなたは、この問題のポイントを理解しているんだね」と思わせるぐらいの簡潔のものでよしとします。これは、試験本番で問題を解いて解答を選ぶときの思考プロセスの要約版とも言えるでしょう。次のような説明の仕方ができれば、問題で試されている文法知識を理解していると私は判断できます。

  • 前にある動詞を修飾するので副詞の(A)nearlyを選ぶ
  • 空所の後が名詞句(カタマリ)なので、唯一の前置詞句の(C)due toを選ぶ。
  • be committed to(~にコミットしている、~に熱心である)の後は動名詞がくるのでing形の(B)developingを選ぶ。
  • 文の中に述語動詞がないので、唯一の述語動詞になれる選択肢の(B)was providedを選ぶ。
  • 主語が複数名詞なので、三人称単数現在形のsのついていない(A)makeを選ぶ。
  • 単数名詞の前におけるのは選択肢の中でeveryだけなので(D)everyを選ぶ。
  • 助動詞willの後なので動詞の原形の(A)meetを選ぶ。
  • 時制を決めるキーワードのyesterdayがあるので、動詞の過去形の(A)triedを選ぶ。
  • 空所の後に動詞が続いているので主格(主語になる)の関係代名詞。加えて関係代名詞の先行詞が人なので、(B)whichでなく(C)whoを選ぶ。
  • report(報告書)は、「提出された」という関係が適切なので、能動態の(A)submitting(提出している)でなく受動態の(C)submitted(提出された)を選ぶ。
  • result(結果)は、「がっかりさせる」という能動関係が適切なので、(C)disappointed(失望した)でなく(B)disappointing(がっかりさせる)を選ぶ。
  • 直後の形容詞を修飾するので、副詞の(D)significantly(著しく)を選ぶ。
  • employee performance(従業員の業績)というよく使われるコロケーション(よく使われる単語のペアのような意味)で文脈にも合っているので(B)performanceを選ぶ。
  • emphasisという名詞はonと一緒に使われるので、(A)onを選ぶ。
  • 空所の前と後ろを単純に並べてつなげているので、(C)andを選ぶ。
  • 提案(propose【提案する】など)・要求(request【要求する】など)・必要(essential【必要不可欠な】など)に関連する動詞・形容詞・名詞の後にthat節が続く場合、that節の中の動詞の原形になるので(C)be completedを選ぶ。【仮定法現在】

目標時間の設定

TOEICのリーディングは時間との戦いです。400点以上のレベルでは、100問を75分でいかに解ききるかがカギとなります。時間をかければ正答率が上がりやすいPART7に時間を多く残すことが重要です。そのためにはPART5、PART6の時間管理が必要不可欠です。

時間配分については、PART5を平均20秒以内、PART6を平均30秒以内の合計20分以内で解くことを目標とします。最初の段階では25~30分ぐらいの制限時間にしても構いません。正確に解くことを重視したほうがいいでしょう。正しい理由・根拠が言える解法アプローチを身につける方が大切です。

解答スピードは、模試トレーニングの数をこなせばついてきます。問題に慣れれば、正解を見つける時間が短縮できます。最初は正確さ重視、それからスピード重視の段階を踏んでよいでしょう。

PART5、PART6の文法・語彙知識は役に立つか?

スコア対策とは直接関係ありませんが、PART5、PART6で試される文法・語彙の知識は、英文を書くときに役に立ちます。TOEICレベルの文法的なルール・語法・語彙を知っていると、かなり正確な英文が書けます。特にビジネス系の文書では、適切な副詞や接続詞・接続副詞を入れてロジックの展開をわかりやすくすると締まった文章が書けるようになり、よりプロフェッショナルな雰囲気のある表現ができます。ビジネスシーンを意識したTOEICという試験で副詞が多くでてくるのはこうした意図があるのかもしれません。

【TOEIC800点台から900点を目指すTOEIC模試トレーニングによる勉強法】
第1回 スコアメイク戦略と模試トレーニングの概要
第2回 TOEICリスニング対策
第3回 TOEICリーディングPART5,PART6対策
第4回 TOEICリーディング PART7対策
第5回 TOEIC単語・語彙の傾向と対策およびまとめ

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です