TOEIC講師も読む価値あり!「新TOEIC TEST 入門特急 とれる600点」
新TOEIC TEST 入門特急 とれる600点
TOEIC界の大御所、TEX加藤先生の著作です。TOEICの試験準備・概要から各パートの内容まで、コンパクトで要点をついた解説は入門者にとって有益な情報です。また、TOEIC600点を目指す方で、試験をあまり受けた経験がない方にとってTOEICとはどのような試験かがよくわかる内容になっています。
TOEICを指導する立場からみても、この本には、注目すべき3つのポイントがあります。
(TOEIC講師も一読の価値あり)
1. 短期でスコアを伸ばしやすいのは リスニングorリーディング
P135に詳しく書かれています。
中学高校で英語が苦手だった場合、リーディングで短期間に250点以上を取るというのは至難の業で、リスニングの方が圧倒的にスコアを伸ばしやすいのです。逆に、リスニングのスコアがすでに250点以上ある場合は、リスニングを頑張れば、短期で600点に到達できる可能性が高くなります。
これは私の指導経験でもすごく納得できる内容です。文法・読解の基礎力がない場合、リーディングは伸びにくく、逆にリスニングに関して、文法・読解力がなくても圧倒的に伸びやすいということは確かだと実感しています。この理屈を理解していないスクールに通っていたり、TOEIC講師に教えてもらったりしているとスコアが伸び悩む可能性が高くなります。
2. PART5のスコアは簡単に上がらない
P138から139に書かれています。
短い文を1つだけ読んで解くパート5は、たくさんの文を読んで解かなければいけないパート6や7と比較して、ゲーム感覚で手軽に解けることもあって、TOEICのリーディングパートの中では1番人気です。・・・・・ただし、楽しいからできるとか、というと必ずしもそうではありません。中学レベルの英文法と、TOEICに出題される基本英文法をちゃんと理解していないと、このパートで600点レベル(正答率6割以上)の点数を取ることができません。
TOEICの指導を始めたころ、自分が比較的得意だったPART5の文法、語彙問題オンリーで指導していました。しかし、何名かの人は、毎週指導して数か月かけてもスコアがほとんど上がらなかった苦い経験があります。なので、TEX加藤先生のこの言葉はよくわかります。
英文法が得意でない人が、TOEICのスコアを短期で上げようと思ったらPART5は後回しにすべきでしょう。PART5で必要とされる文法知識がなくても、TOEICのリスニングはできるようになりますのでご心配なく。
大学受験の英文法が好きで得意だった方は、逆に短期でPART5のスコアが上がります。TOEICの英文法は、難関大学の入試問題よりはるかに易しいので、問題のパターンに慣れればハイスコアが期待できることも付け加えておきます。
3. TOEICリーディングではPART5よりPART7を優先して勉強する
P218の最後の方に書かれています。
600点を目指す場合、まずはリスニングで350点を目指し、リーディングセクションで優先すべきは、パート7です。TOEICのリスニングセクションのスコアが300点レベルになってくると、「英語の回路」が頭の中にでき始めます。聞いていて「なんとなくわかる」ようになるわけです。そういう状態でパート7の英文を読むと、同じ英語ですから、こちらも「なんとなく」わかるようになります。ところが、文法知識や語彙力が問われるパート5・6は「なんとなく」では、解けないので、点数を伸ばすのは意外と難しいのです。
TOEICという試験のポイントを鋭くついています。このTOEICの勉強の各パートに関して、攻略する順番はよく理解しておいた方がいいです。文法が得意でない場合、リスニングからはじめてリーディングはパート7⇒パート5の順番でやるのが、効率がいいでしょう。
ただし、PART5の文法問題の中で品詞に関する問題は、深い文法知識がなくてもコツさえ覚えれば得点源になるので、先にやる価値はあると思います。