TOEICリスニングスコア 495点 満点取得の体験記

今回、Kさん(英語教員40代男性)のTOEICリスニング満点取得までの学習体験記を掲載いたします。TOEICリスニング満点取得までの対策内容が詳しく書かれていますのでご参考になると思います。

1 TOEIC対策する前の状況(2022年3月時点)

・TOEIC受験は大学時代で5回程度、大学卒業後、英語教員になってからは5~10年に1回程度受験。

・スコアは800点台で多少の上下があり。

・2022年3月以前のスコアも5年ほど前に受けたスコアで850点(リスニング445点、リーディング405点)

・TOEICの具体的な対策をした経験なし。毎回、受験直前に1,2回模試を解いた程度。

2 対策をしようと思ったきっかけとその成果

きっかけ

・オンラインコミュニティーで英語が上手な方々と話して、やる気をもらった。

・たくさんの人が「できる」「できた」と言っている声を聴くと、自分でもできそうな気がしてきた。

・今までTOEIC対策をせずに、本番を受けていたことに気づき、対策次第ではスコアアップも狙えるのではないかと考えた。

・自分の英語に関するキャリアアップのために900点以上のスコアが欲しくなった。

TOEICの結果 

2022年3月受験結果:905点(L 465点 R440点)

2022年5月受験結果:930点(L 485点 R450点)

2022年7月受験結果:945点(L495点  R455点)

3 TOEICリスニングスコアの目標

2022年3月から本格的に対策し、リスニングについては満点スコアの495点を目指すことを決めた。

当時の時点で最後に受験した結果のスコアでリスニング445点から目標の495点を取ることがどの程度大変なことかは未知であったが、多くの動画や書籍からの情報から、全体のスコアアップのためにはリスニングの満点は欠かせないと感じたことと、リーディングのスコアアップ以上に目指しやすいのではないかと考えた。

TOEICリスニングスコア目標:495点(満点)

目標の到達期限:2022年9月までに(なるべく早く)

4 自分のTOEIC対策

① 自己分析

公式問題集を購入し、まずは現在の力を把握。

散々たるスコアはともかく、テスト中に感じたことも含めて自己分析をしてみた。

自己分析で気づいた自分の課題

1)集中力が持続できない(45分聞いていられない)

2)はっきり正答が分からなかった時にどうすればいいか迷う

3)選択肢を読むのに時間がかかってしまう。

4)どのタイミングで解答をマークすべきか問題によって迷う

② 必要な対策

自己分析で上記のような課題を掲げ、次はどのような対策でその課題を克服すかを考えた。

克服するためにはより細かくその原因を探り、具体的な対策を行った。

1)「集中力が持続しない(45分聞いていられない)」原因と考えられること

  [1] 45分のリニングが長いと感じる

  [2]内容が聞き取れなかったときに焦る

  [3]選択肢が読み切れなかったときに焦る

  

 [1]45分のリニングが長いと感じることへの対策:「段階的に集中できる時間を増やす」

   日頃の練習量を多くして長時間聴くことに慣れることが必要だと考え、段階的にリスニングの時間を増やしていった。

  1)まずは各パートのみで

  2)パート1と2を合わせる

  3)パート2と3を合わせる… など

最終的には「(リスニング45分聴く)+(リーディング75分取り組む)」の120分間集中力が継続できるようになった。

 

 [2]内容を聞き取れなかったときに焦ることへの対策:「100パーセント完璧を求めない」

焦る原因として「495点取得にはすべての問題を正解する必要がある」と考えていたが、いろいろ調べていくと、実は試験によっては2~4問程度ミスしても受験者偏差値によって495点が出ることを知った。

もちろん最終的な目標はすべて正答での495点取得だが、まずは数問ミスをしても焦らずに落ち着きを維持し続けられるメンタルの方を優先したいと考え、少し回答に自信がなくても「まだ495点狙える、他を落とさないように」と集中力を切らさずにいることができるようになった。

 [3]放送前に選択肢が読み切れなかったときに焦ることへの対策:

   「いったんリスニングに集中。放送後の数秒で瞬時に回答する意識をもつ」

  

理想的なリスニングのパターンは、放送前に選択肢の英文を読んでおく(パート3,4の場合)ことであろうが、間に合わなかった場合、とにかくリスニングにまずは集中する。

話の内容が分からなければ、選択肢が分かっても正答は遠のいてしまう。まず話の内容理解に集中。それが分かれば選択肢を選ぶのも瞬時にできることもあるので、聴くのも読むのも中途半端にするよりはよほど正答率が上がると考え実行していた。

   

2)「はっきり正答が分からなかった時にどうすればいいか迷う」原因と考えられること

  [1] 答えに迷ったとき、次の問題が放送されるまでにマークしきれず、苛立ってしまう。

  [2] 判断に迷ったとき、その次の問題に取りかかっている時でも振り返って考えてしまう。

  

 [1]「答えに迷ったとき、次の問題が放送されるまでにマークしきれず、苛立ってしまう」ことへの対策:「リズムを崩さない、一定の時間で割り切る」

  

苛立ちは禁物。集中力を維持したいTOEICではいかに気持ちを平穏に保たせるかが自分にとっては大切だった。

公式問題集などでの練習でも、リズムよくこなすことが最終的にさすコアの安定に繋がることに気づき、1つの問題に迷った時でも他の問題への影響は最小限にするために、自分のリズムを最優先にして問題を解くことを意識した。

[2]「判断に迷ったとき、その次の問題に取りかかっている時でも振り返って考えてしまう」ことへの対策:「とにかく目の前の問題に集中」

難しく感じた問題の後には意外なくらいに易しい問題が来ることもある。リズムが崩れそうになっても挽回は可能なことを知ってからは以前より問題に集中することができるようになってきた。

3)「選択肢を読むのに時間がかかってしまう」原因と考えられること

[1] 語彙が分からない。

[2] 語彙が分かったつもりでも、状況がイメージできない。

[3] 放送文が流れ終わってから考えると時間が足りない。

 [4] 選択肢や問題文を読んでいない

[1] 「語彙が分からない」ことへの対策:「語彙を増やすしかない」

 語彙が分からないのは試験中どうしようもない。意味が瞬時に分からない語彙は致命的。思い出すのも推測するのもタイムロスでしかない上に不確実。とにかく語彙が必須。

TOEICでの語彙はある程度決まったものが出題されやすいので、TOEIC用の語彙をおさえれば対策できた。私は「金のフレーズ」を幾度となく音読することとその音声を聴くことで対策したが、TOEICに対しては語彙が分からずに解けないことがずいぶん減った。

  [2]語彙が分かったつもりでも、状況がイメージできない。

[3]放送文が流れ終わってから考えると時間が足りない。

  [4]選択肢や問題文を読んでいない。

  上記[2][3][4]の対策

 [2]→「音声を聴いたと同時にその語彙の意味理解が瞬時にできる、イメージできるようにする」

  [3]→「放送が終わる前に回答し終える状態をつくる」

[4]→「問題文、選択肢を読み、放送される内容を事前に予想する」

 

リスニングでは自分で音声の速度を変えられない。話す相手(TOEICの場合は放送文)が主導権を握っているので、それに対して自分の理解速度を上げるしかない。

英文の内容を聞いた瞬間に理解しなければ正解を見つけるまでの時間もかかってしまう。とくにPart3、4では問題文や選択肢を事前に読んでおくことは正解するためには必須なのでタイムロスは極力避けなければならない。

この対策としてはリスニング前、最中、後の3つの作業をリズムよくすることで対策できた。

 

リスニング前:問題文、選択肢(全文を読むのが厳しい場合はキーワードだけに注目)に目を通し、放送される英文をある程度予想する。(いくつかの選択肢を意識しすぎると予想とは異なった英文が流れた場合に対応が遅れるので、選択肢のすべての状況を予想しておく)

リスニング中:最後まで聞き終わる前に正解が分かった時点で放送中にマークする。Part 3, 4ではマークしながら、他の問題も意識しながら全て回答するまで集中を途切らせない。

各問題の答えを放送中に判断し、放送後にはマークするだけ、できればマークもし終わった状態にする

リスニング後:放送後の3秒以内に次の問題に目を通し、次の放送が始まる前までに放送される英文の内容を予想しておく。

 

この流れに従えば、リスニング前後で[2]、[4]の対策ができる。リスニング中に[3]の対策ができて、このリズムを崩さずにできた場合は、9割を下回ることはなくなった。

4)どのタイミングで解答をマークすべきか問題によって迷う

  [1] 「戸惑ったときの対応策ができていない」ことへの対策:

「リズム優先。放送後の3秒以内に決断しマークする」

TOEICの受験中で迷ったときは、決断力を試されているような錯覚に陥ることがある。限られた時間の中、次の問題への気持ちの切り替えのためにも選択を迷う暇はない。

正答が瞬時に出てこないときでも選ぶしかない。各パートの選択肢の特徴を踏まえたうえで2秒以内に決断してマークするようにした。特徴は必ず正答に結び付くわけではないが、1つの判断材料として使う。

各パートの特徴

Part1

・英文の主語(ヒト/モノ/風景など)と動詞(時制、受動態)とその関係性

・見た目から瞬時に想像する語彙の言い換表現

 (例:雑誌のことをmagazineではなく reading materialsと表現。握手している様子をshaking hands ではなく、greetingと表現するなど)

Part 2

・5W1Hの文に対する答えの選択肢でYes/Noを含むものは誤答

・質問の疑問詞に対する回答でない正答パターンなど、会話の流れの自然さを意識する。

 (例:○○ショップにはどう行けばいいですか? 

    正答-その店は去年閉店しました。(行き方の説明ではなく、その店の現状を伝える))

・通常の疑問文でもYes/Noで答えられるとは限らない。

・時制はあてにならない。

・質問に対する直接的な答えが選択肢にあることは少ないし、それっぽいのはむしろ誤答であることが多い。

・付加疑問文や否定疑問文を意識しすぎず、通常の疑問文として捉える。

・場面によっては「どちらでもいい」「どれもダメ」「考え中」など、はっきりしない内容も正答になる

Part 3、4

・設問の主語が誰なのか(男性か女性か)を意識することで答えのヒントになることがある

・「何についての会話ですか」など、全体的なことについて答える問題もあるので、流れを振り返る

③ 対策後の変化

 過去に数回受験したTOEICとは全く違う感覚で問題を解くことができるようになった。

以前は常に集中しなければ解けないと焦る気持ちばかりで、受験中に気持ちが途切れてしまうことが多く、英語力というよりも精神的な気持ちが持続できず自分の力を出し切れている感じがしなかった。

自分はTOEICというテストの特徴をよく知らずにただ力試しで受けていたということに気づいた。

しかし、TOEICの対処法として、受験中に注意すべき点、問題や選択肢の特徴、頻出語句や表現、受験中に落ち着いて取り組むための自分なりの手順などをきちんと理解し訓練することで、TOEICでも120分集中すること、今ある自分の英語力をほぼフルに活用して解答することができるようになったと考えている。

5 TOEIC リスニングで満点を取得して思うこと

私の場合、本格的な学習をして約5か月後に目標に到達した。じつはその間に家族と共に新型コロナウィルスに感染し、体調不良で1ヵ月近く学習に手がつかない時期もあったが、達成できたことそのものはやはり嬉しくて、自分を誇らしく思えた。

しかし、そんな嬉しい思いと同時に「到達してしまった?!」という戸惑いもあった。自分が目標にしたということは、やはりそこに到達すればそれまでとは違った景色が見えるのかなと思って憧れていたが、それが達成できたときと自分の予想したイメージと異なっていて「あれ、こんなものなのかな?」と拍子抜けしたような感じにもなった。

これは過去に目標としてそれを達成したとき、大学院の卒業時や実用英英語検定1級合格でもそうだった。「目に見えるカタチとして客観的に自分の英語力を示す指標」となってくれて対外的には役立つものでもあるが、それはあくまで記録であって、自分のその時での状態でしかない。

英語学習というのは、油断して怠ればすぐにその指標以下に力が落ちてしまうことになりかねないし、その指標を取るためだけに英語学習をして一度達成したら「はい、終わり」いうものでもないと考えている。

自分が「英語の語彙を知りたい」「もっと英語を上手に話せるようになりたい」「もっとレベルの高い英語も聞き取れるようになりたい」など、自分の英語力を向上させたい意欲や、英語をツールとして活用してやってみたいこともいろいろあるわけで、今回の目標達成も通過点の一つにすぎない、ということをあらためて感じた。

今回はあくまでスコアとして満点を獲得しただけで、聞き取れない音や語彙もまだたくさんある。自分の理想とする「英語ができる人」への道のりはまだはるか先にある。今後も英語のリスニング力の向上を継続も含め、他のスキルも伸ばせるよう、英語学習はひたすら継続しいきたいと考えている。

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