もう全文読まない – TOEIC Part 5語彙問題の最速攻略法

なぜ問題文を頭から読んではいけないのか

TOEICのリーディングセクションは時間との勝負です。Part 5の語彙問題を1問ずつ律儀に文頭から読んでいては、あっという間に時間が足りなくなります。

私はこれまで多くのTOEIC受験者を指導してきましたが、TOEIC初心者の中で、今回紹介する解き方を意識的に実践している人はゼロでした。

また、800点以上を取得している受験者でも、この視点を明確に意識している人はごく少数です。

つまり、現在のスコアにかかわらず、解答スピードを上げる余地が残されているテクニックだということです。

この方法を身につけると、Part 5全体の解答時間を大幅に短縮できる可能性があります。これまで時間が足りず、リーディングセクションの最後の20問から数問を焦って塗り絵、つまり適当にマークせざるを得なかったという悩みも、軽減されるはずです。

韓国で発行されているTOEIC過去問題集『TOEIC 定期試験既出問題集 Vol. 5 Reading』に掲載された出題傾向の分析では、Part 5の語彙問題が全体の53%を占めています。

30問中およそ16問に相当し、回による違いはあるものの、語彙問題がPart 5の大きな割合を占めていることが分かります。

出題比率の高い語彙問題の解答時間を短縮できれば、リーディングセクション全体に大きな時間的余裕が生まれます。

語彙問題を速く、かつ正確に解くコツは、最初から問題文全体を細かく読まないことです。

まず空所の前後を見て、空所と直接関係する語との「相性」を確認します。それだけで正解を絞り込めない場合に、読む範囲を少しずつ広げていくのが効率的です。

ここでいう「語の相性」とは、次のような語と語の自然な結びつきを指します。英語では、このようなよく使われる語の組み合わせをコロケーションと呼びます。

他動詞と目的語の関係

例:

revise a contract
契約書を修正する

reviseは「修正する」という意味の動詞で、contract、plan、schedule、documentなどの名詞とよく結びつきます。


一方、

revise a sandwich

という組み合わせは、通常の英語では使いません。

動詞と目的語には、それぞれ自然に使われやすい組み合わせがあります。

動詞と副詞の関係

例:

arrive promptly
時間どおりに到着する

promptlyは「時間どおりに」「速やかに」という意味の副詞です。arrive、respond、beginなどの動作を表す動詞とよく使われます。

副詞問題では、副詞の意味が動詞の動作内容に合っているかどうかがポイントになります。

形容詞と名詞の関係

例:

affordable prices
手頃な価格

affordableは「無理なく支払える」「手頃な」という意味の形容詞です。prices、housing、products、servicesなどの名詞とよく結びつきます。

例えば、次のような組み合わせがあります。

affordable prices
手頃な価格

affordable housing
手頃な価格の住宅

affordable services
手頃な料金のサービス

このように、名詞によって自然に使われる形容詞の組み合わせがあります。

動詞・形容詞と前置詞の関係

例:

apply for a position
職に応募する

be responsible for a project
プロジェクトを担当する

動詞や形容詞には、意味や後ろに続く語に応じて、特定の前置詞とよく結びつくものがあります。

ただし、1つの単語が必ず1つの前置詞だけを取るわけではありません。


例えば、applyには次のような使い方があります。


apply for a position
職に応募する


apply to a company
会社に応募する


apply to all employees
全従業員に適用される


意味と後ろに続く語をセットで覚えることが大切です。

主語と動詞の関係

例:

Sales increased.
売上が増加した


salesという主語は、increase、rise、decline、remain stableなど、数量や水準の変化を表す動詞・表現とよく結びつきます。


一方、

Sales laughed.

という組み合わせは通常成立しません。


動詞を選ぶときは、目的語だけでなく、主語との意味的な相性も重要です。

日本語の例で考えてみる

まずは、日本語の例文でイメージをつかみましょう。


彼女は、来年アメリカの大学に留学するために、英会話力を___必要があった。

(A) 注文する
(B) 参加する
(C) 改善する
(D) 展示する


正解は、(C) 改善する です。


この問題を解くために最初に見るべき箇所は、

英会話力を___

という部分です。


これは、動詞と目的語の関係にあたります。


この選択肢の中で、「英会話力」と最も自然に結びつく動詞は「改善する」です。


「来年アメリカの大学に留学するために」という前半部分を読まなくても、正解を選ぶことができます。


日本語は母語なので、全文を読んでも大きな時間差は生まれません。しかし、不慣れな英文の場合、正解を選ぶうえで重要ではない箇所まで最初から丁寧に読んでしまうと、それだけで時間を失います。


試験時間が厳しいTOEICのリーディングセクションでは、良い意味で「手を抜く」ことが必要です。


もちろん、文脈をすべて理解しないと解けない問題もあります。

しかし、TOEICの語彙問題には、空所と直接関係する語を確認するだけで、正解をかなり絞り込める問題が数多く出題されます。


だからこそ、まず語と語の結びつきを確認し、それで決まらない場合に読む範囲を広げることが、時間短縮と正答率アップの両方につながるのです。

パターン別攻略法

ここからは、実際の選択肢を使いながら、代表的な出題パターンを見ていきます。


なお、以下の例は、語と語の結びつきを分かりやすく示すために、単語や短い語句だけを抜き出しています。

実際のTOEICでは完全な一文の中で出題されますが、まずは全文を読まず、空所と直接結びつく語だけを確認してみてください。多くの問題では、その部分だけで最も自然な選択肢を絞り込むことができます。それでも判断できない場合にだけ、前後へ読む範囲を広げます。


ここで大切なのは、「ほかの選択肢がどのような文脈でも100%使えない」と考えることではありません。


一般的なビジネス英語で、最も自然かつ頻繁に使われる組み合わせはどれか


という視点で判断することが重要です。


TOEICの語彙問題では、特殊な専門分野や古風な表現を過度に想定する必要はありません。普段のビジネスシーンでよく見る組み合わせを優先して選びましょう。


1.動詞+目的語

動詞を選ぶパターン

目的語となる名詞が先に与えられていて、その名詞と自然に結びつく動詞を選ぶタイプです。

例1

(   )the seminar

(A) distribute(配る)
(B) attend(出席する)
(C) publish(出版する)
(D) obtain(取得する)


正解は、目的語the seminarに合う(B) attendです。


attend the seminar
セミナーに出席する


seminarとは、attend、hold、organize、cancelなどの動詞がよく結びつきます。


この選択肢の中では、attendが最も自然です。

例2

(   )the plan

(A) earn(得る)
(B) tour(見学する)
(C) manufacture(製造する)
(D) revise(修正する)


正解は、目的語the planに合う(D) reviseです。


revise the plan
計画を修正する


例3

(   )the factory

(A) postpone(延期する)
(B) recruit(採用する)
(C) inspect(検査する)
(D) translate(翻訳する)


正解は、目的語the factoryに合う(C) inspectです。


inspect the factory
工場を検査する


一般的なビジネスシーンでは、postpone、recruit、translateをfactoryの直前に置いて目的語として使うことは通常ありません。


例4

(   )the completed application

(A) submit(提出する)
(B) resemble(似ている)
(C) forecast(予測する)
(D) renovate(改装する)


正解は、目的語the completed applicationに合う(A) submitです。


submit the completed application
記入済みの申込書を提出する


applicationだけでは「応用」「適用」「アプリケーション」などの意味もありますが、completed applicationとすることで、「記入済みの申込書」という意味が明確になります。

2.動詞+目的語

目的語を選ぶパターン

動詞が先に与えられていて、その動詞と自然に結びつく目的語を選ぶタイプです。


例1

hire(   )

(A) consultants(コンサルタント)
(B) demands(需要)
(C) opportunities(機会)
(D) permits(許可証)


正解は、動詞hireに合う(A) consultantsです。


hire consultants
コンサルタントを雇う


例2

obtain(   )

(A) arrival(到着)
(B) departure(出発)
(C) approval(承認)
(D) expiration(期限切れ)


正解は、動詞obtainに合う(C) approvalです。


obtain approval
承認を得る


obtainは、approval、permission、information、fundingなどとよく結びつきます。


例3

renew the(   )

(A) contract(契約)
(B) relocation(移転)
(C) productivity(生産性)
(D) applicant(応募者)


正解は、動詞renewに合う(A) contractです。

renew the contract
契約を更新する


renewは、contract、subscription、membership、licenseなどとよく結びつきます。


一方、一般的なビジネス英語では、relocation、productivity、applicantをrenewの目的語として使うことはありません。


例4

issue(   )

(A) refunds(返金)
(B) commuters(通勤者)
(C) warehouses(倉庫)
(D) neighborhoods(近隣地域)


正解は、動詞issueに合う(A) refundsです。


issue refunds
返金を行う


issueは、refunds、tickets、permits、statementsなどとよく使われます。


3.副詞+動詞

動詞の動作内容に合う副詞を選ぶ問題です。


例1

begin(   )

(A) considerably(かなり)
(B) closely(密接に)
(C) immediately(すぐに)
(D) extremely(極めて)


正解は、動詞beginに合う(C) immediatelyです。


begin immediately
すぐに始まる


完全な文では、次のように使われます。


The presentation will begin immediately.
プレゼンテーションはすぐに始まります。


例2

(   )increase

(A) skillfully(巧みに)
(B) approximately(おおよそ)
(C) vaguely(曖昧に)
(D) significantly(著しく)


正解は、動詞increaseに合う(D) significantlyです。


significantly increase
著しく増加する


approximatelyは、

increase by approximately 10 percent
およそ10%増加する


のように、具体的な数値を修飾するときによく使われます。


例3

fall(   )

(A) busily(忙しく)
(B) sharply(急激に)
(C) discreetly(分別を持って・控えめに)
(D) anonymously(匿名で)


正解は、動詞fallに合う(B) sharplyです。


fall sharply
急激に下落する


価格・売上・利益などの数値が急激に下がる場面でよく使われます。


例4

(   )grow

(A) punctually(時間どおりに)
(B) loudly(大声で)
(C) steadily(着実に)
(D) anonymously(匿名で)


正解は、動詞growに合う(C) steadilyです。


steadily grow
着実に成長する


売上、会員数、需要、市場規模などの推移を表す文でよく使われます。

4.副詞+過去分詞・形容詞

過去分詞や形容詞の程度・範囲・状態を自然に表す副詞を選ぶ問題です。


例1

(   )rated

(A) highly(高く)
(B) legally(法的に)
(C) securely(安全に)
(D) patiently(根気よく)


正解は、ratedに合う(A) highlyです。


highly rated
高く評価された


例2

(   )low

(A) proudly(誇らしげに)
(B) relatively(比較的)
(C) independently(独立して)
(D) eloquently(雄弁に)


正解は、形容詞lowに合う(B) relativelyです。


relatively low
比較的低い


例3

(   )recognized

(A) widely(広く)
(B) heavily(重く)
(C) narrowly(狭く)
(D) loudly(大声で)


正解は、recognizedに合う(A) widelyです。


widely recognized
広く認知された・広く知られた


企業、ブランド、製品、専門家などの知名度や評価を表す文でよく使われます。


5.形容詞+名詞

名詞の意味に最も合う形容詞を選ぶ問題です。


例1

(   )range

(A) motivated(やる気のある)
(B) accomplished(熟達した)
(C) sharp(急な)
(D) broad(広い)


正解は、名詞rangeに合う(D) broadです。

a broad range
幅広い範囲


例2

(   )updates

(A) spacious(広々とした)
(B) frequent(頻繁な)
(C) steep(急な)
(D) sealed(密封された)


正解は、名詞updatesに合う(B) frequentです。


frequent updates
頻繁な更新


例3

urgent(   )

(A) requests(依頼)
(B) warehouses(倉庫)
(C) districts(地区)
(D) sidewalks(歩道)


正解は、形容詞urgentに合う(A) requestsです。


urgent requests
緊急の依頼


例4

vacant(   )

(A) positions(職・職位)
(B) discounts(割引)
(C) shipments(出荷)
(D) invoices(請求書)


正解は、形容詞vacantに合う(A) positionsです。


vacant positions
空いている職位・求人枠


例5

(   )information

(A) spacious(広々とした)
(B) steep(急な)
(C) confidential(機密の)
(D) furnished(家具付きの)


正解は、名詞informationに合う(C) confidentialです。


confidential information
機密情報

6.動詞+前置詞

動詞とよく一緒に使われる前置詞を確認する問題です。


ただし、動詞の直後に同じ前置詞が置かれていても、文の構造や意味によって別の使い方になることがあります。そのため、本番では前置詞の後ろの語まで確認することが大切です。

例1

(   )in the training program

(A) participate(参加する)
(B) offer(提供する)
(C) depend(依存する)
(D) modify(修正する)


正解は、(A) participateです。


participate in the training program
研修プログラムに参加する


例2

(   )of several departments

(A) arrange(手配する)
(B) consist(~から構成されている)
(C) depend(依存する)
(D) postpone(延期する)


正解は、(B) consistです。


consist of several departments
複数の部署で構成されている


例3

(   )with the safety regulations

(A) refrain(控える)
(B) comply(従う)
(C) approve(承認する)
(D) exceed(超える)


正解は、(B) complyです。


comply with the safety regulations
安全規則に従う


規則、法律、基準、方針などに関するビジネス文書でよく登場します。


例4

(   )from a shortage of materials

(A) result(結果として生じる)
(B) require(要求する)
(C) confirm(確認する)
(D) exceed(超える)


正解は、(A) resultです。


result from a shortage of materials
材料不足から生じる


前置詞の後ろにある名詞まで確認することで、正解をより明確に判断できます。

7.形容詞+前置詞

形容詞とよく一緒に使われる前置詞を選ぶ問題です。


例1

(   )of completing the project

(A) rapid(急速な)
(B) proper(適切な)
(C) capable(能力がある)
(D) excited(興奮した)


正解は、(C) capableです。


be capable of completing the project
プロジェクトを完了する能力がある


capable ofの後ろには、名詞または動名詞が置かれます。


例2

(   )for supervising the project

(A) aware(気づいている)
(B) similar(似ている)
(C) responsible(責任がある)
(D) familiar(なじみのある)


正解は、(C) responsibleです。


be responsible for supervising the project
プロジェクトの監督を担当している


例3

(   )with the new software

(A) eligible(資格がある)
(B) reluctant(気が進まない)
(C) familiar(よく知っている)
(D) grateful(感謝している)


正解は、(C) familiarです。


be familiar with the new software
新しいソフトウェアに詳しい


まとめ:語と語の結びつきを制する者がTOEIC語彙問題を制す

TOEICの語彙問題では、選択肢の意味を覚えているだけでは不十分です。


その単語が、どの語とセットで自然に使われるか


というコロケーションの知識が、正答率と解答スピードの両方を大きく左右します。


単語を意味だけで覚えている人は、選択肢を1つずつ日本語に訳しながら考える傾向があります。

そのため、解答に時間がかかり、文法的には成立していても、ビジネス英語として不自然な選択肢を消し切れないことがあります。

学習するときは、単語を単体で暗記するのではなく、次のような組み合わせを意識して覚えましょう。

  • 動詞なら、よく目的語になる名詞
  • 名詞なら、よく一緒に使われる形容詞
  • 動詞なら、よく一緒に使われる副詞
  • 動詞・形容詞なら、意味ごとに使われる前置詞
  • 名詞なら、主語になったときによく使われる動詞


単語帳を見るときも、見出し語だけを孤立させず、例文やフレーズを「かたまり」で覚えることが大切です。

特に『金のフレーズ』のような単語集を使っている場合は、見出し語の日本語訳だけでなく、収録されているフレーズや例文もセットで覚えることをおすすめします。

フレーズごと覚えることが、そのまま今回紹介した解き方のトレーニングになります。

もちろん、コロケーションの知識は継続して増やしていく必要があります。

しかし、

空所と直接関係する語から先に確認する

という解き方自体は、今日からすぐに実践できます。

新しい単語を大量に覚えてからでなければ使えない方法ではありません。

すでに知っている単語を、「意味」だけでなく「組み合わせ」という視点で見るだけでも、解答方法を改善できます。

TOEIC初心者はもちろん、高得点者でも、この視点を明確に意識していない人は少なくありません。

裏を返せば、現在のスコアにかかわらず、取り入れるだけで解答スピードを上げられる可能性があるということです。

時間に追われるTOEICのリーディングセクションだからこそ、最初からすべてを読まない勇気を持つことが、高得点への近道になります。

次にPart 5の語彙問題を解くときは、まず空所の前後を確認し、空所と直接関係する語に目を向けてください。

それだけで正解が決まらなければ、主語、目的語、前置詞の後ろ、そして文全体へと読む範囲を広げます。

この順番を身につければ、これまでより短い時間で、より高い精度で正解にたどり着けるようになるはずです。

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