【TOEIC800点台から900点を目指す!TOEIC模試トレーニングによる勉強法】 最終第5回 TOEIC単語・語彙の傾向と対策およびまとめ

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目次

第1回 スコアメイク戦略と模試トレーニングの概要
第2回 TOEICリスニング対策
第3回 TOEICリーディングPART5,PART6対策
第4回 TOEICリーディング PART7対策
第5回 TOEIC単語・語彙の傾向と対策およびまとめ

TOEIC単語・語彙の傾向

ETSのリサーチレポートによればTOEICの語彙水準は3714語

少しばかり古い資料ですが、TOEICの本家ETSより発行されている「ブリティッシュナショナルコーパスを用いたTOEIC語彙の分析」というリサーチレポートの中でTOEICの単語・語彙レベルに関するデータがあります。

※詳しくはリンク先資料を参照ください。
http://www.toeic.or.jp/library/toeic_data/toeic/data/pdf/KiyomiChujo_J.pdf

このレポートによれば、TOEICの語彙水準は、英検1級よりはるかに少なく、英検準一級よりも少ないという調査結果です。タイム、ニューズウィーク、CNNニュース、ABCニュース、NHKのビジネス英語との語彙水準の比較も興味深い結果となっています。

この調査では、ブリティッシュコーパスから抽出したリストをベースに95%をカバーするのに必要な単語数で比較しています。ブリティッシュナショナルコーパスは世界で最も信頼できるコーパスリソースとされています。

※95%という数字ですが、このレベルまで単語の意味がわかれば文章をほぼ理解できるといわれています。

英検1級 8230語
英検準一級 6136語
NHKビジネス英語 5415語
タイム 6660語
ニューズウィーク 6257語
CNNニュース 5144語
ABCニュース 4953語
TOEICテスト 3714語
英検2級 2845語
TOEIC Bridge 2420語

この3714語という数字は、英検1級(8230語)の半分以下で、英検準1級(6136語)も大きく下回っています。TOEIC対策に関して言えば、8000語、10000語の高い語彙レベルは必要ないと言えるでしょう。

どのようにTOEICの単語・語彙対策をしたか?

TOEICで必要とされる単語・語彙数は、これまで何度も公開試験を受け、模試、問題集を解いてきた経験からあまり多くないという実感があり、資料の数字は納得できるものであります。

例えば、ニューズウィークの記事をネットで読むときには、未知の単語が多く出てきます。一方で、TOEICの公開試験では990点満点を数回取った今でも知らない単語が出てくることがあります。PART7対策のところでも書きましたが、おそらく95%以上はカバーされていて辞書なしで読みこなせます。私の語彙水準がTOEICレベルを超えていても、ニューズウィークで要求されるレベル(ニューズウィークに出てくる単語を95%までカバーしていない)には届いていないと言ってもよいでしょう。

TOEIC対策を開始してから、単語を1000語とか2000語といった単位で覚えることはしませんでした。なぜなら、TOEIC公開試験、模試、問題集から判断して語彙数を大きく増やす必要性を感じなかったからです。仕事で使う英語においても単語・語彙不足を感じませんでしたので、語彙力を本格的に強化する気はありませんでした。

そうはいっても、TOEICでは知らないと解けない問題もあることがわかりました。PART1に出てくるこれまで全くなじみのなかったcarriage(馬車)、wheelbarrow(一輪車)、platform(演壇【プラットフォームは知っていたが演壇という意味があるのは知らなかった】)や、address(動詞で「対処する」という意味でTOEICによく出る)、sanction(名詞で「制裁」という意味は知っていたがTOEICでは「認可、是認」という意味で出ることがある)といった単語は、模試や問題集をやりながらその都度覚えるようにしていきました。TOEICで必要とされる語彙の穴を埋めていったというのが単語・語彙対策でした。

まとめ

いつごろ模試トレーニングの成果がでるか?

今回ご紹介したTOEIC模試を使った勉強法・トレーニング方法では、まとまった時間を投入する必要があります。1日30分以下の勉強時間では、効果はあまり期待できないでしょう。時間が短いと十分な練習量が確保できません。やるからには、少なくとも平日は平均1時間、休日は3時間以上を投入すべきです。

模試トレーニングでは、1問、1問の正解を積み上げていくことになります。10セットの模試をやり終えても実感として違いを感じないかもしれません。またスコアがほとんど変わらないこともあり得ます。しかし、これをTOEIC模試を20、30とセット数をこなしていけば、英語力が底上げされ、その結果、頭の中で問題を解く回路ができあがってきます。どこかの段階でブレークするポイントが来て、一気に大きく上昇する可能性があります。

地道に適切なやりかたを続ければ、読解力、速読力、リスニング力、文法力、単語・語彙力は間違いなくつきます。英語力とTOEICへの対応力が強化されれば現状のスコアから自ずと目標スコアが見えてきます。

早ければ1か月ぐらいで達成する人も出てくるでしょう。6か月ぐらいをかければ目標達成か、限りなく近いスコアが取れるのではないかと予想します。

試験を受ける回数を増やすこと

900点を出すために模試トレーニングを続けてきたら、公開試験、IP試験を受験する回数を増やすことをおすすめします。本番の試験に慣れるのはその理由のひとつです。

当日の試験問題との相性、体調、試験会場などにスコアは左右されます。リスニング音声が聞き取りにくい会場もあります。隣の受験者の動作が気になることもあります。

同じ英語力とした場合でも、回数を増やすことでスコアが上に振れるチャンスがあります。求めているのは平均スコアでなく、瞬間風速でもいいので最高スコアを達成することなら受験機会を多くするべきでしょう。

模試トレーニングで英語力はつくか?

TOEIC対策でスコアを上げる勉強は、英語力をつけるにあたって意味がないという意見がありますが私は賛同しかねます。ある英語レベルでは有効に働き、英語力を上げると考えるからです。

世間で英語力というと、スピーキング力(話す力)を意味することがあります。「英語が話せる」=「英語ができる」という見方です。模試トレーニングがスピーキング力改善に直接的な効果があるかと問われれば、そうでないとお答えします。模試トレーニングはTOEIC公開試験のリスニング、リーディングを対象とし、スピーキング力をつけなくてもハイスコアは取れるからです。スピーキング力を測定する役目は、TOEICのSW試験のほうで、SW試験向けに効果的な勉強をすればスピーキング力を伸ばせるでしょう。

ただ言えることは、800点台レベルの方がTOEIC模試を中心に勉強すれば、リスニング力、単語・語彙力、文法力、読解力は確実に改善されます。こうした英語力はのちにスピーキング力を高めるうえで基盤になります。

模試トレーニングでは、TOEIC模試を英語テキストの素材のひとつとして使っているに過ぎません。ここまで読んでこられて、単に小手先だけの試験テクニックについての勉強方法を説明してきたのではないことはご理解いただけると思います。

知らない単語を覚えれば、それは英語力アップの要素の一つであることは疑いもないことです。聞き取れなかったセンテンス、フレーズがわかることもそのひとつ。文法的な知識で英文の意味を正確にとれること、あるいはPART7の全文を制限時間内に読んで理解できるようになれば英語力がアップしたと言ってよいのではないでしょうか。

しかしながら、TOEIC模試トレーニングには限界があることも付け加えておかなければなりません。一定数をこなしてスコアを達成した後も同じ勉強を続けるのは「実用的な英語力を上げる」ことを目的とするなら非効率です。それ以上の数をこなせばこなすほど学べることが減ってきます。話されるトピック、書かれている文章を読んでも似たようなパターンだとわかり、きっと飽きがきます。これに気づくころには900点をオーバーしていることでしょう。TOEICそのものを楽しめる方などを除いて、問題の内容自体に知的好奇心を持ち続けることは難しいのではないかと思います。

そしてTOEICに特化した勉強は、語彙水準も限定されているので、TOEICレベル以上の語彙力や読解力をつけることができません。スピーキング力、ライティング力を効果的に改善することもできませんし、ビジネス系のより高度な文章を読むことやニュースレベルの英語を聞くには役不足でしょう。

個人的なアドバイスとして、自分の目標達成、学校の単位取得、資格試験、就活、昇進・昇格、転職(ソフトバンク社の900点以上で100万円の報奨金もあるかもしれません)などの理由でスコアを上げる優先度が高ければ、TOEIC模試を使った勉強に数か月集中して結果を出す、それからビジネス英会話やビジネスライティングなど自らが求め、必要とするスキルを磨く勉強法にシフトしていけばよいのではないかと思います。TOEIC模試だけの勉強は単調になりがちなので、時には他の英語に触れて気分転換することを否定するものでないことも付け加えておきます。

最後に

対象テキストおよび勉強法の一点集中は、あれこれ手を出す分散した勉強法に勝ります。練習量は、やり方に少しばかり問題があってもその欠点をカバーしてくれます。TOEIC模試を活用して量をこなせば900点という目標は現実的なものになってきます。勉強法や参考書・問題集を探し回っているだけでは、無為に時間を費やします。迅速に判断してやることを決め、計画を立て、継続して進めるというのが重要です。

TOEIC模試トレーニングは、練習量と集中力を要するので決して楽な勉強法ではありません。これまでに述べましたように短時間の学習でこなせるものではありません。数か月のスパンを覚悟して続けていくことが不可欠です。「もし本気で目標を達成したいなら、やる価値がある」というのが、自らの経験から得られたものであり、900点を目指す高得点者にとっても有効でかつ再現性のある勉強法のひとつだということで締めくくりたいと思います。

【TOEIC800点台から900点を目指す!TOEIC模試トレーニングによる勉強法】
第1回 スコアメイク戦略と模試トレーニングの概要
第2回 TOEICリスニング対策
第3回 TOEICリーディングPART5,PART6対策
第4回 TOEICリーディング PART7対策
第5回 TOEIC単語・語彙の傾向と対策およびまとめ

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