TOEIC600点を目指す公式問題集の使い方|1周目・2周目・3周目でやること
TOEIC対策では、「公式問題集は何周すればいいですか?」という質問をよく聞きます。
「最低3周した方がいい」「同じ問題を何度も解いた方がいい」といった意見もありますが、重要なのは単純な周回数ではありません。
特に、現在400~500点台で600点を目指している人の場合、公式問題集は単なる模試として使うだけではもったいありません。
問題を解いて現在の実力を確認し、間違えた原因を分析し、足りない語彙・文法・リスニング力を補強する教材として活用できます。
一方で、毎回200問すべてを最初から最後まで解き直す必要もありません。この記事では、400~500点台からTOEIC600点を目指す人を想定して、公式問題集を1周目・2周目・3周目でどのように使えばよいのかを具体的に解説します。
TOEIC600点を目指すなら公式問題集は何周すべき?
結論から言えば、400~500点台から600点を目指すのであれば、公式問題集の問題には2~3回程度触れる価値があります。
ただし、「1周目も200問、2周目も200問、3周目も200問を同じように解く」という意味ではありません。おすすめなのは、周回ごとに目的を変える方法です。
- 1周目:本番形式で解いて現在の実力と弱点を確認する
- 2周目:間違えた原因を分析し、理解できていない部分を重点的に復習する
- 3周目:時間を空けて、苦手だった問題を自力で解けるようになったか確認する
600点を目指す段階では、「何問正解したか」だけでなく、なぜ間違えたのか、なぜ聞き取れなかったのか、なぜ読むのに時間がかかったのかまで確認することが大切です。
同じ問題集を3回解いたという事実よりも、1冊からどれだけ多くのことを吸収できたかを重視しましょう。
公式問題集の1周目|本番形式で現在の実力を確認する
1周目では、まず本番に近い条件で問題を解きます。Listeningは音声を止めずに解き、Readingは75分を測って取り組みましょう。
ここで大切なのは、最初から高得点を取ろうとしすぎないことです。1周目の最大の目的は、現在の自分が何をできて、何をできないのかを把握することです。

公式問題集の1周目:本番形式で現在地を確認する
Readingは75分でいったん終了する
Readingは本番と同じ75分で解きます。75分経ったら、その時点でいったん終了し、次の内容を記録しておきましょう。
- 何問まで解けたか
- 何問残ったか
- Part 5に何分かかったか
- Part 6に何分かかったか
- Part 7に何分残せたか
例えば、75分終了時点で20問残ったのであれば、「Readingで20問塗り絵になる可能性がある」という現在地が分かります。しかし、ここで残った20問をそのまま放置してはいけません。
75分で解けなかった問題は時間制限なしで最後まで解く
75分終了後は、残った問題を時間制限なしでもう一度考えて、最後まで解いてみましょう。
これによって、「時間が足りなかっただけなのか」、それとも「時間があっても解けないのか」を区別できます。
例えば75分終了時に20問残ったとして、その20問を時間無制限で解いた結果、18問正解できたとします。この場合、英語の内容そのものはかなり理解できているものの、読むスピードや問題処理のスピードに課題がある可能性があります。
一方、時間をかけても20問中10問しか正解できなかったのであれば、単純な時間不足だけではありません。語彙、文法、英文理解などの基礎力を高める必要があります。
つまり、「時間内にどこまで解けるか」と「時間があればどこまで解けるか」の両方を確認することが重要です。これは、今後の学習方針を決めるための重要な診断になります。
1周目が終わったら問題を「○・△・×」に分ける
採点したら、問題を次の3種類に分けてみましょう。
| 評価 | 状態 |
| ○ | 自信を持って正解できた |
| △ | 正解したが迷った、勘で選んだ、十分理解できなかった |
| × | 不正解だった |
ここで特に重要なのが「△」です。600点を目指す段階では、正解した問題でも「たまたま当たった」「2択まで絞って勘で選んだ」というケースが少なくありません。
正解したからといって、その問題を完全に理解しているとは限りません。したがって、2周目では「×」だけでなく、「△」も復習対象にすることが重要です。
公式問題集の2周目|最も時間をかけて復習する
600点を目指す場合、最も重要なのは2周目です。1周目で見つかった「△」「×」を中心に、なぜ理解できなかったのかを一つずつ確認していきます。Partごとに復習方法を変えましょう。

公式問題集の2周目:復習で「なぜ」をつぶす
Part 5は「なぜ正解なのか」を説明できるようにする
Part 5では、単に答えを覚えるだけでは十分ではありません。例えば正解が(B)だった場合、「Bだったことを覚える」のではなく、「なぜBが正解なのか」を説明できるところまで理解することが重要です。
確認したいポイントとしては、次のようなものがあります。
- どのような問題タイプなのか
- なぜ正解の選択肢が入るのか
- 他の選択肢はなぜ入らないのか
- 文の主語と動詞はどれか
- どの文法知識が問われているのか
- 知らない単語や熟語はないか
例えば品詞問題であれば、「答えはC」で終わるのではなく、「空所の前に冠詞があり、後ろに動詞があるので、主語になる名詞が必要」と説明できる状態を目指します。こうすることで、次に似た問題が出たときにも同じ考え方を使えるようになります。
Part 5の解説が分からないときはAIを補助教材として使う
公式問題集の解説を読んでも、「なぜこの答えになるのかよく分からない」ということもあるでしょう。そのような場合は、ChatGPTなどの生成AIを使って解説を詳しくしてもらう方法もあります。
例えば、問題文、選択肢、公式の正解を入力したうえで、次のように依頼してみましょう。
「TOEIC600点を目指しています。この問題について、①問題タイプ、②正解になる理由、③他の選択肢が不正解になる理由、④文の構造、⑤覚えておくべき文法・語彙、の順番で初心者にも分かるように説明してください。」
さらに分からない部分があれば、「なぜここには名詞が必要なのですか?」「Aを入れると、なぜ文法的におかしいのですか?」「この文の主語と動詞を教えてください」「同じタイプの練習問題を3問作ってください」などと追加で質問できます。
AIは、公式問題集の解説を自分のレベルに合わせて詳しくしてもらうための補助教材として使うと便利です。ただし、生成AIの回答が常に正しいとは限りません。
そのため、正解そのものは公式問題集を基準とし、「公式の正解はCです。なぜCになるのか詳しく説明してください」という使い方がおすすめです。AIに正解を決めてもらうのではなく、公式解説の家庭教師として利用するイメージです。
Part 7は正解の根拠を本文から探す
Part 7では、間違えた問題について正解だけ確認して終わらないようにしましょう。必ず、「本文のどこを読めば正解できたのか」を確認します。
- 知らない単語が原因だった
- 一文の構造を正しく取れなかった
- 設問を読み違えた
- 本文の該当箇所を見つけられなかった
- 選択肢の言い換えに気づかなかった
また、Part 7では正解した問題でも、極端に時間がかかった問題は「△」として復習しておくとよいでしょう。
TOEIC Readingでは、正確に読めることだけではなく、一定のスピードで処理できることも必要だからです。
Listeningは「正解したか」だけで判断しない
Listeningでは特に、「正解した=聞き取れた」とは限りません。
- 一部のキーワードだけ聞き取れた
- 消去法で正解した
- なんとなく推測して正解した
- 設問に必要な箇所は聞けたが、会話全体は理解できなかった
そのためListeningでは、○・△・×を次のように考えるとよいでしょう。
| 評価 | 状態 |
| ○ | 正解し、音声の内容も十分理解できた |
| △ | 正解したが、一部しか聞き取れなかった、推測した |
| × | 不正解、または内容をほとんど理解できなかった |
正解した問題でも内容を十分理解できなかった場合は、復習対象にします。
Listeningはまずスクリプトを読んで原因を確認する
Listeningの復習では、まず音声をもう一度聞いてみます。それでも分からなければ、スクリプトを確認します。ここで、「スクリプトを読めば分かるのか」を確認することが大切です。
スクリプトを読んでも意味が分からない場合は、リスニング以前に語彙や文法、英文理解に問題がある可能性があります。
反対に、スクリプトを読めば簡単に分かるのに、音声になると聞き取れない場合は、英語の音を認識する力を鍛える必要があります。この2つでは必要な練習方法が異なります。
音読・オーバーラッピング・シャドーイングを活用する
スクリプトの意味を理解したら、その音声をリスニングトレーニングにも活用しましょう。600点を目指す人には、次のような練習がおすすめです。
音読
まず、スクリプトを見ながら英文を声に出して読みます。意味を理解した英文を英語の語順のまま読んでいくことで、英文を前から処理する練習になります。
最初から音声と同じ速さで読む必要はありません。英文の意味を意識しながら、正確に読めることを優先しましょう。
オーバーラッピング
次に、スクリプトを見ながら、音声とほぼ同時に英文を読みます。音声に自分の声を重ねるため「オーバーラッピング」と呼ばれます。
実際の音声についていくことで、英語のスピード、リズム、強弱、音のつながりなどを確認できます。音読では問題なく読めたのに、音声に合わせるとついていけない部分があれば、そこは重点的に練習しましょう。
シャドーイング
英文の意味と音を十分確認したら、シャドーイングを行う方法もあります。音声を聞きながら、少し遅れて同じ英文を発音していきます。
ただし、600点を目指す段階では、意味が分からない英文をいきなりシャドーイングする必要はありません。まず、「意味を理解する」「自分で音読できる」「音声に合わせて読める」という段階を踏んだ方が取り組みやすいでしょう。
Part 2はディクテーションも効果的
特にPart 2で聞き取れない英文については、ディクテーションもおすすめです。ディクテーションとは、聞こえた英文を書き取る練習です。
スクリプトを見ずに音声を聞いて英文を書き、その後、公式のスクリプトと比較します。これによって、次のような原因を具体的に確認できます。
- 知らない単語だった
- 単語は知っていたが音で認識できなかった
- 音がつながって聞こえた
- 弱く発音された語を聞き落とした
- 疑問詞など重要な部分を聞き逃した
ただし、Listeningの全問題をディクテーションすると非常に時間がかかります。特にPart 2の聞き取れなかった問題など、苦手な音声に絞って行うのがおすすめです。
リスニング復習はすべての練習を毎回やる必要はない
音読、ディクテーション、オーバーラッピング、シャドーイングを紹介しましたが、すべての問題について毎回全部行う必要はありません。
例えば、「単語の意味が分からなかっただけ」なら、まず語彙を覚えることが優先です。「読めば分かるのに聞き取れない」なら、音読やオーバーラッピングを重点的に行います。「短い英文なのに、どの音を聞き落としているのか分からない」なら、ディクテーションが役立ちます。
重要なのは、トレーニングをこなすことではなく、自分が聞き取れなかった原因に合った練習を選ぶことです。
公式問題集の3周目|苦手な問題を自力で解けるか確認する
2周目で十分に復習したら、少し時間を空けて3周目を行います。ただし、3周目では200問すべてをもう一度同じように解く必要はありません。

公式問題集の3周目:できるようになったかを確認する
- 1周目で間違えた問題
- 正解したが迷った問題
- Listeningで十分聞き取れなかった問題
- Readingで極端に時間がかかった問題
例えばPart 5なら、答えを覚えているかではなく、「なぜこの選択肢が正解なのか」を説明できるか確認します。
Part 7なら、「正解の根拠が本文のどこにあるか」を自分で見つけられるか確認します。Listeningなら、スクリプトを見ずに音声を聞いて、以前聞き取れなかった英文を理解できるか確認します。
3周目の目的は、問題の答えを覚えたかではなく、以前できなかったことができるようになったか確認することです。
すべての問題を3周する必要はない
「公式問題集は3周する」と聞くと、毎回200問をすべて解かなければならないと思うかもしれません。しかし、その必要はありません。例えば次のように考えると効率的です。
| 1周目の結果 | 2周目 | 3周目 |
| ○ 自信を持って正解 | 軽く確認 | 原則不要 |
| △ 正解したが迷った | しっかり復習 | 再挑戦 |
| × 不正解 | 丁寧に復習 | 必ず再挑戦 |
すでに理解できている問題に何度も時間を使うより、理解できていない問題に時間をかけた方が効率的です。「3周する」というより、苦手な問題には3回以上触れると考えた方がよいでしょう。
公式問題集だけで600点を目指そうとしない
公式問題集は非常に重要な教材ですが、公式問題集だけですべてを身につけようとするのもおすすめできません。
例えば、Part 5で分からない単語が大量にあり、基本的な品詞問題もほとんど解けない状態であれば、問題を何度も解き直すだけでは効率がよくありません。
- 語彙不足 → TOEIC用単語帳
- 文法不足 → 基本文法教材
- Listeningの音が分からない → 音読・オーバーラッピングなど
- Readingが遅い → 英文を前から読む練習
このように、公式問題集で発見した弱点を別の教材やトレーニングで補います。公式問題集は、「弱点を見つける教材」+「実戦で確認する教材」として使うと効果的です。
TEST 1で復習した成果はTEST 2の初見問題で確認する
同じ問題を何度も解けば、当然スコアは上がっていきます。しかし、それだけでTOEICの実力が伸びたとは判断できません。
答えや英文そのものを覚えている可能性があるからです。
そこで重要になるのが、まだ解いていないTESTです。例えば、次の流れにします。
- TEST 1を本番形式で解く
- TEST 1を丁寧に復習する
- TEST 1の苦手問題を解き直す
- TEST 2を初見で解く
そして、TEST 1を解き直したときの点数ではなく、TEST 2の初見問題でどれくらい正解できたかを確認します。
TEST 2の初見問題でも正答率が上がっていれば、TEST 1で身につけた語彙・文法・リスニング力・読解力を新しい問題にも応用できている可能性が高くなります。
同じ問題を解けるようになることではなく、初めて見る問題を解けるようになることがTOEIC対策の最終目的です。
TOEIC600点を目指す公式問題集の学習サイクル
ここまでの内容をまとめると、次のような流れがおすすめです。
① 本番形式で解く
↓
② Readingは75分で残った問題数を記録する
↓
③ 残った問題を時間制限なしで解く
↓
④ 問題を○・△・×に分類する
↓
⑤ △・×を中心に復習する
↓
⑥ 必要な基礎力を補強する
↓
⑦ △・×をもう一度解く
↓
⑧ 次のTESTを初見で解く
このサイクルを繰り返せば、「公式問題集を何周したか」ではなく、公式問題集を使って何ができるようになったかを基準に学習を進められます。
まとめ|600点を目指すなら「3周する」より「できないことを減らす」
400~500点台からTOEIC600点を目指す場合、公式問題集には2~3回程度触れる価値があります。しかし、200問すべてを機械的に3周する必要はありません。
1周目は、本番形式で解いて現在の実力を確認します。Readingは75分でいったん終了し、残った問題数を記録したあと、時間制限なしでも解いてみましょう。これによって、時間不足なのか、英語力そのものが不足しているのかを判断しやすくなります。
2周目では、間違えた問題だけでなく、正解したものの迷った問題や十分理解できなかった問題まで復習します。Part 5では正解理由を説明できる状態を目指し、必要であればChatGPTなどのAIを使って公式解説を詳しくしてもらうのも一つの方法です。
Listeningでは、正解・不正解だけで判断せず、音声の内容を本当に理解できたかを確認します。聞き取れなかった英文は、音読、オーバーラッピング、シャドーイング、Part 2を中心としたディクテーションなどにも活用できます。
3周目では、すでに理解できている問題を何度も解くのではなく、苦手だった問題を中心に、本当にできるようになったか確認します。そして最後は、別のTESTを初見で解いて学習成果を確認しましょう。
公式問題集を使う目的は、答えを覚えることではありません。
分からない単語を減らす。
理解できない英文を減らす。
聞き取れない英文を減らす。
時間内に解けない問題を減らす。
こうして「できないこと」を一つずつ減らしていくことが、400~500点台から600点へ近づくための公式問題集の効果的な使い方です。
